アメリカ軍がベトナム戦争において小口径高速弾を使用する「M16」を投入すると、その有効性を目の当たりにしたソ連軍は、時代に遅れまいと小口径弾を使用するAK-74を1974年に開発し、1978年から始まったアフガニスタン紛争では本格投入されました。
それまでのAK-47系での7.62×39mm弾から5.45×39mmの小口径高速弾になりましたが、この弾は弾頭の内部に空洞を持ち、人体などのソフトターゲットに命中した場合、弾頭が横転を引き起こし広い範囲を損傷させながら進むと言う、極悪非道な構造をもっています。
これは西側諸国に逆に衝撃を与え、現在の5.56mm×45NATO弾も同じ様な仕組みになっています。
このAK-74の近代改修型がAK-74Mで、従来のAKは固定ストックと折り畳みストック・タイプを作り分けていましたが、固定ストックの様で折り畳めるブラック色のガラス繊維強化樹脂製ストックになり、空挺部隊等のコンパクトになる小銃が必要な部隊にも、そのまま配備出来る様になり作り分けが不要になりました。
また、レシーバー左側面の光学機器取付け用のマウントが標準装備になり、その他各部軽量化や耐久性アップ等の改良が施されました。
2018年には後継機のAK-12がロシア軍に制式採用されましたが、予算と在庫の関係で当面はAK-12と新開発アップグレードキットを装備したモダナイズドAK-74Mが併用配備されると言う事です。
セミ・フルオート電子トリガー電動ガン
可変ホップアップシステム
全長 710mm(伸長時955mm)
重量 4,440g
装弾数 460発(ゼンマイ給弾式多弾マガジン)
価格 33,000円 (税込)
この銃の特徴 |
---|
〇フルメタルで重く全長も長いので、AK撃ってる感がハンパナイ。 |
〇ハイトルクモーターとショートストローク・トリガーでレスポンスがとても良い。 |
〇磁気センサー方式の電子トリガー搭載で、電動ガンとしてのクオリティ・アップ。 |
S&T製のAK電子トリガーシリーズも数多くの種類が販売される様になりましたが、今回はAK-74Mをレビューします。
S&TさんのG3電子トリガー仕様AKシリーズは、ショートストローク・トリガーとハイトルクモーターで、とてもレスポンスの良い撃ち心地になっていて、個人的にはS&T製電動ガンの中では一番のお気に入りになっています。
電子トリガーは磁気センサーギア制御方式で、バーストショット等の機能は無いスタンダードな物ですが、まあ お手頃価格帯の海外製電動ガンですから搭載されているだけでも拍手です。
メタル製レシーバーは剛性感があり質感も良いのですが、お手頃価格の海外製フルメタル電動ガンですので、御多分に漏れず塗装は弱いです。
作動確認で動かしたであろうセレクターの擦れキズは最初から当然ありますし、レシーバーカバーと擦れ合う部分や所々細かい剥げが見られます。
レシーバー部分には、セレクター以外に刻印が無いですが、元々軍用銃なので殺風景な雰囲気なのは気にならないか。
実銃では、初期型AK-74のハンドガードは合板製でしたが、ストックと同じく1980年代になって生産された後期型からこげ茶色のポリマー製になり、AK-74Mでは成型色が黒色になりました。
S&T製AK-74Mも忠実にモデルアップされ真っ黒です。
大型のマズルブレーキをベースから外し、イモネジを緩めてベースを回して外せば14mm逆ネジが出てくるはずなのですが、ベースのネジが固くて回りません。
結構頑張ってみたのですが・・・挫折しました。く----っ!これがお手頃価格・海外製電動ガンのトラップか? ん~断念。
マズルブレーキを外すと、ギミックのクリーニング・ロッドはスルリと抜けました。
クリーニング・ロッドもメタル製でリアルです。
フロントサイトはネジ式で、締めたり緩めたりして高さを調整するタイプ。
専用のアジャストツールは附属していないので、ラジオペンチ等で回せるかな?
リアサイトはお馴染みのタンジェント・サイトで、スライドバーを前後させる事でリアサイトの上下調節をします。
セレクターは実銃通りで、一番上がセイフティ、真ん中がフルオート射撃、一番下がセミオート射撃。
AK系のセレクターは、何だかいつも丁寧に操作しています。
AR系の小さいセレクターに慣れていると、この大きいセレクターを動かすとなると正確な位置で止めないと!と言う意識が無意識に働くのかな。
AK-74Mからサイドマウントベースは標準装備、と言う事で手持ちのCYMA製サイドマウント用レイルを取り付けてみました。
ん~ピッタリ。
光学機器が装着出来ると、楽しみ方の幅が広がりますよねえ~。
折り畳み式ストックは、レシーバー左側後部のロック解除ボタンを押す事で折り畳めます。
ストック左側面は、折り畳んだ時にレシーバーのサイドマウントベースに干渉しない様にえぐれた形状になってます。
またレシーバー左側には、折り畳んだストックを引っ掛けて固定するフックが装備されています。
折り畳んだ状態を解除するボタンはバットプレート部分からニョキッと生えてますが、通常時のボタンのバネは弱いので、ストックを肩にあてがった時でも全く気にならないレベルです。
実銃AK-74は、AK-47系と使用弾薬が異なり当然マガジンも互換性は無いので、どんな状況でもAK-47系マガジンと間違わない様にするためか、マガジン側面はAK-47系とは異なり凹凸の無いフラットな外観になっていて、手探り状態でも間違わない形状です。(と言っても、AKMから採用され始めたベークライト製マガジンの表面は、ツルツルですが)
S&T製マガジンも、実銃の微妙にいびつな曲がり方のマガジンを、うまく再現しています。
マガジンはゼンマイ給弾式多弾数マガジンで装弾数460発。
マガジン底部の歯車の巻き難さや巻く重さは、一般的な物と同程度でした。
試しに目一杯0.2gBB弾を装てんして、入ったBB弾の重さを量ってみたところ95gでしたので、BB弾の重さの誤差が無いとすれば、475発装てん出来た事になり、撃ち尽くしてもマガジンに残ってしまう弾数を差し引くと、ほぼ公称値通りの装弾数になりました。
レシーバー後部のロック解除ボタンを押すと、レシーバートップカバーが上に外れバーッテリー装着スヘースが現れます。
AKタイプ・ニッケル水素バッテリーだと、リアサイトベース下の穴にバッテリーを6cm程差し込めるので、装着が安定しています。
スティックタイプのバッテリーだと、バッテリースペースの上に置く感じです。
コネクタは、国内では一般的なミニタイプです。
射撃時の作動性能的には、8.4Vニッケル水素バッテリーと7.4V25Cリポバッテリーでは、大差ない感触ですが、これは各バッテリーのコンディションで結構違ってくるので、なんとも。
ホップアップの調整は、チャージングハンドルを引いて中にあるホップアップ調整レバーを前後にスライドさせて行います。
一見古臭い方式に見えますが、ホップも十分掛かってくれていて、とても調整し易いです。
フルメタルで重量感があり、大柄なライフルを振り回す感じはAK的で良いのですが、ハンドガード周りの建付けが少し緩いのは、残念ポイントです。
まあ詰め物をする等、自分で調節出来るレベルではありますけど。
電子トリガーはセミロック等のトラブルを防いで快適な射撃をサポートしてくれてますし、ニッケル水素バッテリーでもレスポンスの良い射撃が出来るのは良いですね。フルオート射撃時のサイクルも速いです。
レスポンスが良いと言っても、高級電動ガンの様なカリカリ・チューン程では無い感じが頑張ってる感があって健気なんです。
実射性能も良いですね。
癖の無い飛びですし、12mの集弾性も安定して纏まっています。
QDスプリング・システムを装備していて、簡単にメインスプリングが交換出来るので、規制値ギリギリまで初速をチューンしたり、へたってきたスプリングを交換する時にも便利です。
S&Tの電子トリガーAKシリーズは、地味に良いです。もう既にリアルウッド系も気になってます。
ん~軍拡欲が止まらなくなる~。
距離 12m 半径2cm刻みの円(横幅A4サイズ)
0.25gBB弾 セミオート10発
S&T AK-74M | 22.0℃ 44% |
0.20gBB弾 平均初速 | 85.0m/s |
1発目 | 84.7m/s |
2発目 | 84.9m/s |
3発目 | 85.2m/s |
4発目 | 85.3m/s |
5発目 | 84.9m/s |
S&T AK-74M | 22.0℃ 44% |
0.25gBB弾 平均初速 | 73.8m/s |
1発目 | 73.7m/s |
2発目 | 73.9m/s |
3発目 | 73.6m/s |
4発目 | 74.3m/s |
5発目 | 73.7m/s |
フルオート射撃時の連射サイクルは、秒間17~18程度と速いです。