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1990年代に入って、戦場ではボディアーマー着用が普通になり、テロリストでさえ防弾に対する意識が高まって来ると、H&K MP5等の拳銃弾を使用する既存のサブマシンガンでは、後方支援部隊やパイロット用の自衛用火器(PDW=PersonalDefense Weapon)としては役不足となりつつありました。
アメリカ軍やNATOでも、新しいコンセプトの自衛用火器を模索していましたがベルギーのFNハースタル社は既に、ライフル弾を小さくした様な専用弾薬を使用するPDW、P90を開発していました。
これに危機感を覚えたH&K社が1999年に開発したのがH&K MP7です。
MP7は、P90と同じ様なボトルネック形状の専用弾薬4.6×30mmの小口径高速弾を使用します。
H&K社が開発した4.6×30mm弾は、ボディアーマの貫通力を高めつつ軟体物に命中すると横転してダメージを加えてマンストッピング・パワーを増幅させる能力を持っています。
ウィキペディアより
左から4.6×30mm弾、P90用5.7×28mm弾、M1カービン用.30弾
PDWとは言えP90は攻撃的な形状をしていますが、MP7はより軽量コンパクトで携行性が良く、ステアーTMPやM11A1等の小型サブマシンガンの様にグリップにマガジンを挿す形状なので、前後の安定が良く拳銃の様に構えて使える程の扱い易さがあります。
2004年に改良が施され、MP7A1になりました。
MP7A1では、ボルトストロークを延長してフルオート時の連射サイクルが下げられ、レシーバー前方の両側面にピカティニーレイルが装備されました。
セミ・フル ブローバックガスガンガン
可変ホップアップシステム
全長 381mm(伸長時586mm)
重量 2,200g
装弾数 40発
価格 32,800円 (税別)
この銃の特徴 |
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〇リアルな操作と作動はブローバックガスガンならでは。 |
〇コンパクトながら集弾性はピカイチ。さすがはマルイ製 |
〇強めのリコイルショックで、撃ち心地も良い。 |
2006年にまず電動ガンで発売され、2012年にブローバックガスガンも発売されたマルイ製MP7A1ですが、何時の頃からか「これ、実銃より小さくね?」と囁かれる様になりました。
まあ、実銃は勿論目にする事は有りませんし、2009年に発売されたKSC製ブローバックガスガンのMP7もほぼ同じ様な寸法ですし、他に比べる物も無いので、あまり気にしてませんでした。
しかし台湾のVFC社が、H&Kのライセンスを持つUMAREX社を介してリアルサイズMP7A1を2014年に発売し、それが「銃専門誌」でサイズの事も含め紹介されちゃったので「小さかったのね問題」が蒸し返される事になってしまいました。
で、そもそも何故小さくなったのか?と言う疑問が浮かんできますが公式には「初期の、プロトタイプのサイズを参考にしたから」との事らしいです。
しかし世間では、初期のフラッシユハイダー無しモデルの全長を参考にフラッシュハイダーモデルの図面に当てはめたからだ!とか、色々噂が飛び交いました。
詰まるところは、当時H&K社から提供されていた資料ではMP7A1の全長は380mm。(現在の資料では、全長約415mm)
それを図面に当てはめて作ったため、一回り小さいMP7A1が出来た・・・・と言う辺りでしょうか。
なので全長だけで無く、全体のサイズが一回り小さくなっています。
MP7は、殆どが軍や法執行機関向けなので、実銃を採寸する事は難しかったでしょうから、資料に頼るしかないというご苦労が伺えます。
マルイさんも、H&K社を恨んだでしょうねえ、「何でやねん!?」と。
(これは全て憶測ですが・・・・)
そしてマルイさんに追従したKSCさんも「なんでやねん!」と叫んだのかな?
マルイ製MP7A1は、長物としては、マルイで初めてとなるブローバックガスガンです。
マシンピストル・ガスガンのグロック18では、マルイ製はKSC製に対してかなりの後発と言う事もあり、扱い易い操作性やブローバック、実射性能等全てにおいて凌駕していましたが、今回のMP7でもガスガンとしては後発ながらその期間差も余り無い事から、どんなマルイさん流の味付けに成ってるか興味がそそられます。
実銃と同じく樹脂製のレシーバーは、やや艶が抑えられていて質感は良いです。
レシーバー右側面の刻印は、結構目立つ場所なのに「丸々マルイ仕様」です。
左側面は、使用弾の刻印は実銃と同じですが、実銃では下段に何やらマークの様な物が刻印されていますが、マルイ製にはありません。
セレクターレバー、ボルト・リリースレバーそれにマガジン・リリースレバーはトリガー周りに集中配置され、しかも全てアンビ(両側)タイプです。
グロックの様なトリガーセイフティやセレクターのピクトグラム表示も実銃通りです。
亜鉛ダイカスト製のトップレイルには、KSK(ドイツ連邦陸軍特殊部隊)採用モデルに搭載されていたため、「KSKサイト」と呼ばれるフロント・リアサイトが装備されています。
ストックを使わずに、片手若しくは両手で保持して銃を撃つ時はサイトを折り畳みます。
折り畳むと拳銃のアイアンサイトの様に使用出来ます。
しかもフロント・リアサイト共に、ご丁寧にホワイトドットまで入っています。
ストックを使用して撃つ時は、サイトを起こします。リアサイトはビープホール式に変わります。
どちらのモードでも、フロントサイトは上下の、リアサイトは左右の調整が出来ます。
リアサイトは調整ダイアルも大きくて、使い易いですね。
マズル先端のフラッシュハイダーを外すとネジが見えますが、マズルはハンドガードから飛び出して無いので、そのままではサプレッサー等を装着する事が出来ません。
なので付属している、14mm逆ネジ用アダプターを間に挟んで装着します。
まずはマルイ製ショートタイプ・プロサイレンサーを装着しましたがなかなか似合ってますね。
しかし・・・ここは、アメリカ海軍特殊部隊でも使用する、ヘッケラー&コック社純正のサプレッサーでないと!
で、結構レプリカも販売されていますが、私がチョイスしたのは、「良品武品」さんのQDサプレッサー・レプリカ。
アルミ製マットブラックの仕上げや質感は良く、雰囲気は最高。
QD(クイックデタッチャブル)タイプなので、サプレッサー根元の写真の矢印部分を中心に向かって押すだけでロックが解除され、素早い着脱が可能です。
サプレッサー取付用の、スチール製専用フラッシュハイダーが付属しているので心置きなく着脱を楽しめます。
この個体の場合はサプレッサー装着時のガタもほぼ無く、、今のところ問題なく使えてますが、アマゾンのレビューでは発射したBB弾のサプレッサー内側への接触が数件報告されてますね。
個体差も有るみたいですが。
最新ロットでは、ガタつきを大はばに改善したと説明文に書かれていますが観賞派やお座敷シューター向けなのかな?
サバゲーマーの方なら、もしもBB弾接触の症状が出てしまった時には手を加えて改善出来る、中級・上級者向けアイテムなのかもしれません。
綺麗にハンドガード下部に収納されているフォアグリップは、フォアグリップロックレバーを後方にスライドしてロックを解除しながら引き出します。
完全に引き出すと、そこでロックされます。
なかなか使い易いフォアグリップですが、実銃の改良版MP7A2ではハンドガード下部もマウントレイルに変更されたので、評判は良くなかったのかな?
トップレイルやハンドガード左右のマウントレイルはメタル製なので、遠慮なく重量級光学サイトも装着出来ますが、トップレイルには小型ドットサイトが似合います。
もしくは写真の様な、3倍率位の小型スコープ等も良いですね。
調子にのってサイドマウントにフラッシュライト等を付けちゃうと、重量がどんどん増して、機動性が悪くなってしまうので程々に。
ストックを使う時は、レシーバーエンドのストック・リリースレバーを押し上げます。
するとロックが解除されてストックが少し後方に飛び出るので、そのまま引き出します。
4ポジションのストックは、一杯に引き出した状態でもグラつきは少なくしっかりと肩付けが出来ます。
トリガーガード付け根にアンビ・タイプのマガジン・リリースレバーが装備されていますが、レバーを押し下げるのは慣れないとスムーズに出来ませんね。
マガジンは亜鉛ダイカスト製で、装弾数は40発。
BB弾はマガジン・フォロアーを指で下げながら、マガジン・フォロアーのスリットの少し幅が広くなってるエリアから投入します。
BB弾の投入エリアが広いのは、より素早く装てん出来て便利ですがマガジンフォロアーの指を引っ掛ける部分が浅くて難しいのは、改良して欲しい所です。
マガジンのガス容量は約23gと、以外にもマルイ製ハイキャパ用マガジン(約25g)よりも少ないです。
ガス満タンで4マガジン程撃てるので、燃費は約0.14g/1発とハンドガン並みの良さです。
初弾装てん操作は、チャージング・ハンドルを引くとボルトが後退してBB弾をチャンバーに送り込みますが、ボルトは完全に閉鎖せず少し隙間があるのは気になります。
また全弾撃ち尽くすとボルトはホールドオープンしますが、実銃だとその時ボルト・リリースレバーは上にあがります。
そしてボルトを戻す時は、ボルト・リリースレバーを押し下げます。
これに対してマルイ製(KSC製も)はホールド・オープン時にレバーは動かずボルトを戻すときは、ボルト・リリースレバーを押し上げます。
この真逆の操作は、何なのでしょうか?
これは「小さかったのね問題」よりも問題だと思いますが・・・
しかも、グリップしている手の人差し指でボルト・リリースレバーを押し上げるのは結構しんどいです。実銃の様に押し下げる方が理に適ってますよねえ。
マルイ製MP7のホップアップ調整方法は独特で、マガジンを抜いてからトリガーを前方に押し込みます。
するとボルトが後退しホップアップ調整ダイアルが、ひょっこり顔を出すのでその状態をキープしながらダイアルを回して、ホップ調整します。
マガジンさえ抜いていれば、どんな状態でもホップ調整操作は出来ます。
同じマルイ製MP7A1の電動ガンタイプの重量は1,390gなので、ブローバックガスガンは810gも重く、ズッシリとしています。
初弾装てん操作で、ボルトを引いた感触はフリクリョンを感じさせないヌポッとした感じでスムーズです。
初期ロットではボルトの閉鎖不良が発生していた様ですがこの個体は問題無いですね。
トリガーフィーリングは、癖も無く軽くて引き易いです。
トリガーを引くと、やや派手な射撃音と共に重いリコイルショックが手に伝わってきます。
KSC製のMP7A1は作動性を重視し、軽量なボルトで軽快に作動させています。
装弾数40発を一気に、何のストレスも無くフルオートで撃ち尽くせる実力を持っていますが逆に撃ち応えは、ほぼ有りません。
極端に言えば、これなら電動でも良いんじゃね?と思わせる位です。
マルイ製MP7A1は重いボルトを直径16mmの大型ピストンでガンガンブローバックさせているので、撃ち応えはありますね。
フルオートのリコイルショックは、トリガーハッピー状態に陥ってしまうほど。
その代わりマガジンの冷えには弱く、夏場でもフルオートで一気に撃ち続けると最初の数発を過ぎる辺りから、鋭い衝撃が徐々に失われて行きます。
それでも全弾撃ち尽くせて、ホールドオープンで止まりますし、フルオートでも刻んで撃てば、冷えの回復も速いので余り調子を崩さずに軽快に撃てます。
フルオートの連射サイクルは、最高の状態で秒間16発程度です。
弾の飛びは、改めてマルイさんの凄さを思い知らされましたね。
初速は、やや低めの設定なので有効射程もそれなりですが、12mの集弾性ではフルサイズ電動ガンも顔負けで、「あんたはスナイパーライフルか!?」と突っ込みたくなるくらいです。
なので小型のサブマシンガンと言えど、用途は幅広そうです。
青い空、ギラギラとした太陽、全身からにじみ出る汗・・・電動ガンを撃っている暇は有りませんよ、さあトリガーハッピーの世界へ。
4本のマガジンでの、フルオート全弾撃ち尽くしの初速変化をグラフにしました。
「マガジンA」だけ不安定でしたね。
このMP7個体の症状でしょうけど、初弾のみ初速が悪い癖があります。
「マガジンAセミ」は、マガジンAを使いセミオート・1秒間隔で射撃した時の
グラフです。
間隔を開けて撃てば、初速の落ち込みも緩やかなのが分かります。
距離 12m 半径2cm刻みの円 0.25gBB弾
セミオート10発
マルイ MP7A1ガス | 29.3℃ 50% |
0.20gBB弾 平均初速 | 78.2m/s |
1発目 | 74.3m/s |
2発目 | 78.7m/s |
3発目 | 79.9m/s |
4発目 | 79.5m/s |
5発目 | 78.5m/s |
マルイ MP7A1ガス | 29.3℃ 50% |
0.25gBB弾 平均初速 | 73.3m/s |
1発目 | 72.3m/s |
2発目 | 73.7m/s |
3発目 | 73.9m/s |
4発目 | 74.0m/s |
5発目 | 72.9m/s |
フルオートの回転スピードは、秒間16発程度。
マガジンが冷えてくると13発位に落ちます。
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