1966年に開発されたヘッケラー&コック社のMP5は、それまで一般的だったオープンボルト式SMG(サブマシンガン)とは比べ物にならないほどの命中精度を持っていました。
ドイツ国内での法執行機関を中心に配備が進んでいましたが、1977年に起きたハイジャック事件を皮切りに、世界中に知れ渡ることとなり、1980年のイラン大使館占拠事件では、イギリスのSAS(イギリス陸軍特殊空挺部隊)が大使館に突入し、僅か15分でテロリストを制圧。
彼らが装備していたのもMP5であった事から、特殊部隊御用達の地位を不動の物にしました。
しかし1990年代になると9mmパラベラム弾を使用するMP5の威力不足が大口径大好きなアメリカ辺りから聞こえてくるようになり、それまでにもH&K社はアメリカ軍の要請で、MP5より構造が単純で安価なSMGの開発を行っていたと言う経緯もあり、それらを取り入れた45口径のSMG「UMP」を開発しました。
クローズトボルトのストレートブローバックと言うシンプルな作動方式のUMPはレシーバーやマガジン等主要パーツを中心に繊維強化プラスチックを多用し軽量化と生産性の向上が図られ、海水などへの耐水性も格段に強くなりました。
ただ、どうしてもMP5の廉価版と言うイメージが付きまとってしまうためメーカーが思っていた程には、商業的なヒットには至っていません。
そんなUMPをリスペクトし現代版としてオマージュした(と思いたい)のが2019年にアメリカの銃器メーカーLWRCI(Land Warfare Resources International)社が発売した SMG 45 Pistol(民間用ピストルの名称)です。
UMPより角が取れてコンパクトになった印象のSMG-45ですがレシーバートップからハンドガード先端まで伸びるマウントレイルや独自のモジュラーアタッチメントシステムを搭載し、拡張性を持たせています。
そのため、剛性を高めるためか、レシーバーはUMPの樹脂製に対してメタル製になっています。マガジンはUMP仕様です。
操作系はUMPとAR-15系を融合させ、既存の銃器から持ち換えてもスムーズに慣れ親しめるPCC(ピストルキャリバーカービン)に仕上がっています。
Falcon DFCS2.0搭載 電子トリガー電動ガン
可変ホップアップシステム
全長 440mm-670mm
重量 2,500g
装弾数 120発
価格 41,580円 (税込)
この銃の特徴 |
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〇モダナイズドUMPと言えるPCCをモデルアップ |
〇多彩な射撃モードが選べる多機能電子トリガー |
〇コンパクトながら、初速も出ていて命中精度も上級です。(当たり個体か?) |
しかし、目新しい(と言っても実銃の試作品が公開されたのは2015年ですが)SMGが早くもモデルアップされるとは、ダブルイーグルさんもやりますな。
まあ既にG&Gが、PCC45と言うLWRCI-SMG-45に近い外観のモデルは出していますが、再現度で言えばダブルイーグルの方が格段に高いです。
ダブルイーグル製SMG-45のハンドガード一体のアッパーレシーバーはメタル製で、ロアレシーバーは樹脂製ですが、最初に見た時はロアレシーバーもメタル製かと思うほど違和感は無いですね。
よく見ればマットな塗装の表面のザラザラした質感が多少違うなと感じる位です。
特筆すべきは刻印の再現度で、ほぼ完璧に近いです。
実銃には有るはずの、ハンドガード底部のマーク・刻印が無い位じゃあないかな。
アッパーレシーバー左上に「MADE IN CHINA」のシールが貼ってあるのですが、剝がすと実銃通り、「MADE IN THE U.S.A」の文字が出てきました。
その瞬間、心の中で「ナイス!」って聞こえました。
マガジン・ハウジング左側にあるQRコード部分の「張り付けてある感」も実銃通り。
ただダブルイーグル製の物は、ただのペラペラのシールですが、実銃はもっとしっかりした物が、カッチリと張り付けてある様です。
私は何も知らずに、最初に剝がしちゃって・・・慌てて張り直しましたが。
ダブルイーグル製SMG-45には、ハンドガードの握り心地を良くするグリップパネルが2枚、ハンドガード底面用にハンドストップ付グリップパネルが1枚と、20mmマウントレイルが2枚附属します。(全て樹脂製)
これだけ揃っていれば、取り敢えずは不自由しないでしょう。
ただ、実銃を忠実に再現しての、独自のモジュラーアタッチメントシステムなのでM-LOK規格のアイテムを装着したかった方は残念!になります。
G&G製PCC45は敢えてのM-LOK仕様なので、さらなる拡張性を重視するならこちらを選択・・・なんてことも。
メタル製アウターバレル先端のマズルキャップを外せば、14mm逆ネジになっているので、対応しているサプレッサー等を装着出来ます。
フロント&リアサイトは実銃と同様のMAGPUL MBUS PRO・・・みたいなタイプ。
フロント&リアサイト共に樹脂製の可倒式で、フロントサイトは調整ダイアルを回して上下の調節が出来ますが、工具無しで行えるのは、とても便利です。
リアサイトは二段式のビープホール・タイプで、精密射撃用のビープホールを前方に倒す事で、近接戦闘用ビープホールになります。
リアサイト右側の調整ダイアルを回せば、左右の調節が出来ます。
フロント&リアサイトを畳んだ状態でも、ピストルタイプのサイトが付いているので狙いを付ける事が出来ます。
ハンドガード上部にあるチャージングハンドルは、実銃と同様にそのまま引き抜いて、反対側に付け替える事が出来ます。
非常に簡単で便利なのですが、やや装着時の固定が緩い気が。
まあ、取り越し苦労かも知れないですが、もう少し固い方が安心かも。
今回レビューしているのは、見た目には民間用「ピストル」モデルになります。(まあ、実銃の民間モデルにフルオートは無いですが。)
アメリカでは銃身が16インチ以下のライフルは「SBR=ショートバレルライフル」に分類され、民間人の所持は非常に厳しく規制されます。
なのでメーカーは規制の緩い「ピストル」として販売しています。
ピストルにストックはありませんから、このSMG45に付いているのはストックでは無くあくまで、アームブレース(正式名はスタビライジングブレース)なのです。
アームブレースはストックの様な形をしていますが、下側は二又になっていて腕に挟んで、その上からさらにバンドを巻きます。
ハニーバジャーのアームブレースを使った射撃シーンが4分30秒~からあります。
勿論エアガンではアームブレースにする必要は無いので、ただのストックですがバンドが付いているのは、実銃のSB Tactical製アームブレースに似せるためで再現度はとても高いですね。
アームブレースは実銃同様に折り畳む事が出来ますが、折り畳むと開かない様にテンションは掛かりますが、固定は出来ないので ちょっと不安定です。
ダブルイーグルでは、このアームブレースタイプの他にリトラクタブル・ストックモデルも販売されていて、説明書の中ではリトラクタブル・ストックモデルが載っているので、そちらがメイン商品なのかなあ?
リトラクタブル・ストックは単体で販売されていて、付け替えも簡単そうなので
その内、欲しくなるかも。
アームブレース後部のバットプレート、にバッテリーを収納します。
ロック解除レバーを押し下げると、フタが開きます。高い伝導率のシルバーコートの配線で端子はT型コネクタですが、国内では一般的なミニコネクタ用変換アダプターも附属しているので安心です。
バッテリーの収納スペースはストックチューブに入れるタイプよりは、かなり広いのでバッテリーの選択肢が増えるのは嬉しい限りです。
ボルトリリースボタンとピクトグラム刻印のセレクターはアンビ(両側)タイプです。
マガジン・リリースレバーはUMPと同様に、マガジンハウス後部にありマガジンをガシッと握りながらレバーを前方に押し、そのままマガジンを引き抜けるので、素早く操作出来ます。
グリップはAR-15タイプで、前後のラバーがしっとりとグリップ感を高めてくれますがグリッップ形状がややスクエアで、握りが太く感じてしまいます。
ダブルイーグル製SMG45には、標準装備のマガジン・リリースレバーの他にタクティカルタイプのリリースレバーが附属します。
これは標準装備のレバーに、ヘッケラー&コック社のHK45等ピストルタイプのアンビ・リリースレバーをくっ付けた様な形状をしていて、指で押し下げてもマガジンがリリース出来る様に、操作スタイルの様々なシチュエーションに対応したレバーです。
なかなか面白いアイテムですが標準装備のレバーはメタル製なのに、タクティカル・レバーは樹脂製なのは面白くないですね。
装弾数120発のノーマル・バネ押し上げ式UMPマガジンはシースルーウインドウタイプで、45ACP弾を模したダミーカートのシートが雰囲気を盛り上げてくれます。
それにしてもUMPのマガジンが、こんなに大きいなんて知りませんでした。
実銃だと、いくら45ACP弾を25発装てんすると言っても大きいですよね?
あと、ノーマルのバネ押し上げ式マガジンなのにローダーが附属していないのは不親切かなと。(まあ、国産の至れり尽くせりに慣れ過ぎか?)
「我が社の電動ガンは、初心者は買わんやろー!
買うとしたら中級者以上だから、ローダーぐらい持っとるやろー!」と、言う事なのかな?
チャージングハンドルを引くとエジェクションポートのダミーボルトのカバーが後退してエジェクションポートが全開になり、カバーは後退したままロックされます。
エジェクションポート全開って珍しいですよね?
でドラム式のホッフアップ調整ダイアルが出てきます。
カバーを閉じるときは、アンビタイプのボルトリリースボタンを押すとチャチーン!という気持ち良い金属音でカバーが閉じます。
これは癖になります。何気にチャージングハンドル引いて、ボルトリリースボタンを押す行為をやたら繰り返しそうで、怖いですね。
ダブルイーグル SMG45は最新FUCである、Falcon DFCS2.0を搭載していてセレクターとトリガー操作で、多彩な射撃アクションの設定をすることが出来ます。
① フルオート→1~5発バーストショット
② トリガー感度設定 (どれだけトリガーを引いたら作動するかの設定 3段階)
③ ダブルショットON-OFF(トリガーを引いた時と戻った時に弾を発射する
バイナリーショットのON-OFF)
設定操作は、B&T APC556と全く同じなので設定操作動画を載せておきます。
大きくて長いUMPマガジンを別にすれば、コンパクトでスリムな流行りのPCCスタイルで、アサルトライフル等よりは取り回しも良くてSMGらしい軽快な雰囲気が伝わってきます。
バッテリーは、7.4V~11.1Vリポバッテリー対応ですが11.1Vのリポバッテリーをチョイスすれば、フルオートは勿論セミオート時のレスポンスも申し分ないですし、素早いトリガー操作にも追従してくれます。
11.1Vリポバッテリーでも、そんなに滅茶苦茶ハイスピードで回っていないのでトラブルも起こらないと思います。
しかしちょっとトラブル発生で、S&T製BB弾を使って撃つと数発撃った後に弾詰りが起こり、弾が出ません。
セミオート時よりフルオートで起こりやすく、100%詰ります。
チャンバーで詰ってるのですが、もしかしたらマガジンのBB弾押し上げ不良かな?
原因不明ですが、S&T製の0.20gと0.25gBB弾(全てバイオBB弾)で発生します。
試しに手持ちの、マルイ製0.20g、0.25g、G&G製 0.20g, HITCALL製 0.20g, 0.25g(全てバイオBB弾)で撃ってみましたが、これらは問題無く撃つ事が出来ました。
ん~BB弾の表面仕上の違いで、スムーズに流れない箇所があるのでしょうか?
まあ取り敢えずはマルイ製で撃てるので、やれやれです。
弾の飛びは、初速がやや高めなので力強く真っ直ぐに飛んで行きます。
特に近距離の集弾性は素晴らしく、12mの集弾性テストはずば抜けてます。
狙った通りに弾が飛んで行く様は、撃っていてもとても痛快ですね。
遠射では、最終的には散らばり気味ですが、それでも基本飛びは素直なので優秀だと思います。
実射性能は素晴らしく、バーストショット等多彩な撃ち方も楽しめますし拡張性もあり、色んなシーンで活躍出来る一丁。
後は多弾数マガジン等のアイテムが揃ってくれれば文句なし。
最近はダブルイーグルさんも優秀なエアガンを発売する様になって、昔ながらの縁日出店コスプレアイテム・クオリティのエアガンと2極化されてきました。
この2極化はエアガン業界随一と言っても過言ではないでしょう。
なのでダブルイーグルさんのエアガンを購入の際は、よく確認して下さい。
まあ価格が超激安だから、直ぐ分かりますが。
フルオートの回転スピードは、11.1Vリポバッテリーで秒間15発。
8.4Vニッケル水素バッテリーで秒間11発。
7.4Vリポバッテリーで秒間10発
ダブルイーグルSMG45 | 20.1℃ 36% |
0.20gBB弾 平均初速 | 89.7m/s |
1発目 | 89.2m/s |
2発目 | 90.1m/s |
3発目 | 89.7m/s |
4発目 | 89.4m/s |
5発目 | 89.9m/s |
ダブルイーグルSMG45 | 20.1℃ 36% |
0.25gBB弾 平均初速 | 78.9m/s |
1発目 | 80.3m/s |
2発目 | 78.1m/s |
3発目 | 78.8m/s |
4発目 | 79.2m/s |
5発目 | 78.2m/s |
距離 12m 2cm刻みの円 0.25gBB弾
セミオート10発
2022/5/4 追記
ダブルイーグル純正 SMG-45用 ACRタイプストック
ダブルイーグル製LWRCI SMG-45電動ガン用、純正ACRタイプ・ストックが別売オプションで販売されていますので交換してみる事にしました。
ストックの取り外しは、レシーバー後部のストックを固定している左右2本ずつのネジを外すのですが、このネジが日本ではあまり馴染みの無い、星形のヘックスローブネジ(トルクスねじ)に
なっているので、注意が必要です。
次にストック基部とレシーバー後端をガッツリ固定している六角ネジを外せば、ストックが後方にスルスルと抜けます。
後はストックに通してあるバッテリー用コードを引き抜けば良いのですがバッテリーが通してある通路は、割と大きな孔なので簡単に引き抜けます。
次にACRストックにコードを通すのですが、バッテリー用通路はストック根元付近が若干狭いので少し通し難いです。
そこが通れば後は広いので簡単に通せます。
ACRストックは、流石の純正品なので本体に難無くピタッと装着出来ます。
取り換え作業で難しい箇所は有りませんでしたね。
ストックはストック・リリースボタンを押してロックを解除する事で長さを調節出来ます。
ガイドナンバーは「6」まであるので、6ポジションになりますが、もう一段長く出来ますので、実質7ポジションかな?
それ以上ストックを引っ張ると、リミッターに引っ掛かって止まります。
チークピース・リリースボタンを押すと、チークピースを上下に調節する事が出来ます。
こちらも細かく4ポジションです。
写真の状態が、一番高いポジションです。
ストック・ロックボタンを押すと、ストックを右側に折り畳む事が出来ます。
折り畳んだ状態でも射撃する事は出来ますが、エジェクションポートはストックが塞いでるので、雰囲気的にはチョットですね。
あと折り畳んだストックをロック出来ないので、不安定感があります。
ストックにはQDスリングをワンタッチで装着出来る、QDスリングホールが両側に装備されています。
その他にも、スリングを通せる孔が2箇所装備されています。
ストックを一杯に引き出した状態でリミッターを押し込むとストックの可動部を引き抜けます。
バツテリースペースは、あまり広くは無いですがリポバッテリーのスティックタイプなら余裕でしょう。
ストックの取り換えは簡単ですし、ACRストックにすると一気にタクティカリーな雰囲気になります。
精悍なスタイルになりますねぇ。
ストックが簡単に外せてバッテリーへのアクセスが楽ですし、各調節機能も充実していて、拘れます。
たまにはアームブレース・タイプとは違ったスタイルのSMG-45は如何?
アッパーレシーバーが樹脂製のスポーツライン(廉価版)は、こちら |