1963年にガストン・グロックが設立したグロック社は、産業用・医療系機械パーツの製造を行っていましたが、60年代後半から徐々に軍や警察関連向けの樹脂パーツ製品も手がける様になりました。
1980年に、オーストリア国防軍の次期制式拳銃トライアルに参加するため、初めての銃器開発に着手し、驚異的なスピードで開発を進め1982年には最終プロトタイプを軍に提出し、同時に「グロック17」と言う名で西ヨーロッパの民間市場にリリースしました。
1983年に制式拳銃に選ばれると、その勢いのまま1985年にはアメリカの巨大市場に進出。
グロック17は、商業的に大成功した、世界最初のフレーム全てが樹脂製のポリマーフレーム・オートとなりました。
可変ホップアップシステム
全長 202mm
重量 710g
装弾数 24発
価格 29,480円 (税込)
3ヶ月内部パーツ破損・ガス漏れ無償修理保証付
この銃の特徴 |
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〇グロックの現行第5世代モデルをモデルアップ |
〇季節を問わず使える、CO2ガス・ブローバック |
〇BS-STACCATOと比べると、マイルドで小気味良い味付けのリコイルショック |
国内のエアガンメーカーさんを見ると、KSCさんのグロックはGen.3で進化が止まってますし、マルイさんも2020年にGen.4のグロック17を発売したばかりなので、Gen.5なんて夢の話だよね~?と諦めてましたが、バトンさんがGen.5のグロック17を発売すると言う事で、グロック信者の私は飛びついてしまいました。
しかもドットサイトが装着出来るMOS(Modular Optic System)仕様なので、期待も膨らみます。
外観を見てみると、ナイロン樹脂製スライドはバトンさんではお馴染みのギラギラ・ザラザラの質感で、折角のリアルな刻印が見え難く、特に細かい文字は何が書かれているか分からないほど。
逆にフレームの質感は実銃の雰囲気がとても良く再現されていて良いですね。
ただレーザー刻印が薄くて、判別がすでに困難な「風前の灯火」状態です。
チャンバー部分はメタル製なので、ツルッとした質感で細かい刻印類もはっきり見えます。
因みにスライドの「Gen5」の世代モデル表示ですが、これは実銃Gen4からリコイルスプリングがデュアルタイプになり、スライドとフレームの形状が大幅に変更され従来モデルとの互換性が無くなり、区別する為に刻印される様になりました。
他にGen.5から採用された物ではフロント・セレイション(コッキング用滑り止めスリット)、あとホルスターに差し込む時等に引っ掛からない様にするためか、スライド先端のエッジ部分の面取りが広げられています。
またリコイルスプリングガイド先端が大型化されてます。
これらは忠実に再現されていますね。
今手元にGen.4グロックが無いので、KSC製グロック17 Gen.3と比べて見て下さい。
バトンBG-17は、グロックのティルトバレル式ショートリコイルも再現していますが、KSC製に比べるとチャンバーの沈み込みが若干浅く、よってバレルの跳ね上がり角度も浅い感じです。
まあ、実射性能派の方からみれば、ショートリコイルなんてオミット上等、動きの少ない方が歓迎でしょうけど。
実銃のグロック17 Gen.5は、「グロック・マークスマンバレル(GMB)」と呼ばれる高精度な物に変更され、バレル内側のポリゴナルライフリングも一般的なライフリングとポリゴナルライフリングが混ざった様な螺旋状になっています。
バトン BG-17も、メタル製アウターバレルのマズル部分にライフリングが再現されている様ですが、ん~暗くてよく見えません。
インナーバレルも黒いですし、まあマズルの内側なんて良く見えない方がリアルで良いかな?
グロック独特の、ホワイトドット・フロントサイトと凹型ホワイトのリアサイトは健在。
実銃グロックのサイトも以前から樹脂製で、「丈夫な金属製に」の要望が多いらしいですが、頑なに変えていません。
何故?頑固おやじか、あんたは?
ドットサイトを装着するには、まずスライド後部のカバープレートを附属の六角レンチを使って外します。
そして代わりにMOSプレート(ドットサイトを乗せる土台)を取り付けるのですが、MOSプレートは各社のドットサイト固定用ネジや位置決め用ダボの違いに対応するため、4種類のプレートが附属しています。
そしてまず、ドットサイトをMOSプレートに取付けてネジを締めて、MOSプレート裏側からネジが飛び出していないか確認します。
もし飛び出すほどネジが長い場合は、スライド本体を傷付けてしまうので削るか交換が必要です。
確認したら一旦ドットサイトを外し、MOSプレートをスライドに装着して、最後にドットサイトを取付けます。
今回Vector Opticsのドットサイトを取り付けたのですが、ドットサイトに附属のネジがMOSプレートのネジ穴とサイズ違いで固定出来ず、慌てて近所のホームセンターにネジを買いに走りました。
MOSプレートのネジ穴は、M3規格です。
こちらはSIG AIRのドットサイト。
スリムでコンパクトなので、見た目のピッタリ感は良いですね。
こちらもドットサイトに附属のネジは、M3ではなくて使えませんでした。
スライドのエキストラクターは別パーツで、指で押すとちゃんとテンション掛かってるのが分かります。
スライド・リリースレバーはアンビ(左右両側)タイプで、利き腕に関わらず親指でも人差し指でもレバー操作が出来て、とても便利です。
スライドストップさせた、スライドのノッチ部分をよく見るとスライド・リリースレバーはノッチに引っ掛かっていません。
これはノッチ削れ対策のために、スライド内側の金属パーツにスライド・リリースレバーが引っ掛かっているため。
なのでノッチが削れてスライド・ストップしなくなる事は起こりません。
バトンBG-17のトリガーは、コッキングインジケーターの役目もしていて、コッキング時にはトリガーが前方にせり出します。
トリガーは、実銃同様にトリガーセイフティの機能がありますが、エアガン独自のセイフティとしてコッキング時に、トリガーセイフティ用レバーを上に押し上げる事でトリガーをロックする事が出来るマニュアルセイフティが備わっています。
これは両手を使わないと解除出来ない程しっかりしたセイフティで、普通にトリガーを引く操作位ではビクともしません。
実銃のGen.3から装備されている、ダストカバー部のアンダーマウントレイルの形状はGen.5はそのまま継承。
個人的には、位置固定用の横スリットの数を増やして欲しいのですがね。
Gen.3からと言えば、グリップ前面のフィンガーチャンネルがそうですね。
実銃グロックでは、Gen.3にフィンガーチャンネルが採用された当初から、手に馴染まないと不評の声も多かったらしいですが、遂にGen.5で廃止となりました。
グリップの滑り止めパターンは、Gen.4から変わりません。
Gen.5から、マグウエル(マガジン挿入口)が広げられて、マガジンの抜き挿しが楽になりました。
マガジン・リリースボタンは、左右に入れ替えが出来ます。
スライドを外して、マガジン・キャッチにテンションを掛けている棒状のスプリングを外して、入れ替えるだけなのですが、今回これが大苦戦しました。
スムーズに入れ替え出来るやり方があるかもしれないので、上手く出来ない方はメーカーに聞かれた方が良いかも。
CO2マガジンの装弾数は24発。
マガジン・フォロアーをいっぱいに下げながら、フォロアー・スリットの広くなっている部分からBB弾を装てんします。
BBローダーでマガジン・リップから装てんする方法もありますが、マガジン・リップ保護の観点から私はしませんね。
CO2ガス・カートリッジは、マガジン・ベースとカートリッジ・ベースカバーを外してマガジン底部から挿入します。
マガジンは、装てんしたガスカートリッジが見える開放型と呼ばれる比較的に安全なタイプです。
最近SNSでも話題になっている、破裂する海外製エアガン用CO2ガス・マガジンですが、あれは閉塞型でもさらに危険な、ガス・カートリッジの収納スペースを気化室として使うタイプの物です。
なので海外製CO2ガスガンを購入する際は、十分に確認が必要です。
ホップアップ調整ダイアルは、チャンバー下部にあるのでホップ調節はスライドを外して行います。
マガジンを外してからスライドを引いてインナーハンマーをコッキングします。
後はフレームの両側にあるテイクダウン・レバーを同時に押し下げれば、スライドがスルスルと前方に抜けます。
するとチャンバー下部が露出しているので、ホップアップ調整ダイアルが回せます。
テイクダウン・レバーが他メーカーの物より軽いので、スムーズに操作出来ますね。
そのまま、実銃同様のデュアルタイプ・リコイルスプリングアッセンブリーを外し、メタル製アウターバレルをスライドから抜けば通常分解完了です。
あと気になる所は、今まで使っていたホルスターが使えるかですが、差し込みの浅い物ならタイトな樹脂製ホルスターでも問題無いです。
写真は昔から使ってる、実銃グロック17/22/31用のBLACKHAWKホルスター
BS-STACCATOの時も思ったのですが、マガジンにガスカートリッジを入れてカートリッジ・ベースカバーのネジを締め付ける時のガス漏れが、以前と比べると少なくて、漏れる音も「プシュッ」っと小さくてとても良くなっています。
やや強めのスライド操作感もスムーズで、気分が高まりますね。
ただトリガーを引いた時に、トリガーセイフティが完全に解除しきれてないようで、トリガーセイフティのレバーの角がフレームと僅かに干渉して、トリガーを引いた時に「カクン」と擦れた感覚が指に伝わるのは残念です。
射撃に影響する程ではないのですが、トリガーセイフティのバネが固いのかな?
まあ、レバーの角を少し削るとか、バネを緩くすれば直ぐ治りそうですが。
私は撃ってれば、そのうちに自然に角が削れてくれないかと期待してます。
ブローバックの強さですが、マイルドな撃ち心地と聞いていたので期待していませんでしたが、全然強くて良かったです。
大体「マイルドな撃ち心地」とは、リコイルショックが弱かった時のオブラートに包んだ表現ですから。
予想では、例えばカーボネイト製ストライカーナイン位に抑えられたリコイルショックを想像していましたが、全然強烈でした。
同じバトンのBS-STACCATOと撃ち比べれば、多少弱いか。
ん~弱いと言う表現よりは、本当の意味で「マイルドな撃ち心地」がしっくりくるかも。
とても撃ち心地は良く、カートリッジ1本で100発弱位撃てます。
室温14.2℃の中での、連射時の初速の落ち込み方も、BS-STACCATOと遜色無く優秀でした。
寒い季節のせいか、ホップ調節はシビアな感じで、最初は集弾性も縦方向に乱れがちでしたが、安定した時には素晴らしい性能を見せてくれました。
一年の中で最も寒い時期に発売しただけの事は、ありますね。
冬でも使えるGen.5 CO2グロックは超お勧め。
特に私の様なグロック信者の方は、もう必須。と言うか、これは義務です。
是非。
距離 10m 半径2cm刻みの円(横幅A4サイズ)
0.20gBB弾 10発
BATON BG-17 CO2 | 13.3℃ 44% |
0.20gBB弾 平均初速 | 72.6m/s |
1発目 | 72.0m/s |
2発目 | 72.7m/s |
3発目 | 73.0m/s |
4発目 | 73.0m/s |
5発目 | 72.1m/s |
0.20gBB弾の初速は、適正ホップ時の数値です。