
ルパン三世の愛銃としても有名なワルサーP38は、第二次世界大戦が始まる一年前の1938年にドイツ国防軍に制式採用された、カール・ワルサー社製の9mm口径軍用自動式拳銃です。
1908年から30年間ドイツ軍の制式拳銃だったルガーP08は自動拳銃(オートマチック・ピストル)としては初期のモデルだったので、複雑な構造のパーツを削り出しで作り、熟練工が一丁ずつ調整しながら組み上げるという、高価で生産性が悪い銃でした。
その欠点を解消するために開発されたワルサーP38だったのですが、当時としては画期的なデコッキング機能付きダブルアクション機構を搭載したために、部品点数としてはルガーP08より少し減った程度に止まりました。
ダブルアクションは、チャンバー(銃身の根元にある、弾を発射する場所)に弾を装てんした状態でハンマーを落として安全に携行出来ますし、とっさの場合にはトリガーを引くだけで素早く撃つ事が出来る優れものです。
また、チャンバーに弾が装てんされていても、ハンマーーが落ちている状態だとトリガープルは重くてトリガーストロークも長いので、誤射する危険性が少ないと言う利点があります。
これは銃の扱いに、それ程長けていない一般の軍人さんや警察官にとっては重宝する機能で、現代の軍用や警察向け拳銃でもダブルアクション機構の拳銃が多く採用されてきましたし、最近増えてきたストライカー式もダブルアクション的思想の延長線上にある様な物です。
1985年にM1911の後継機としてアメリカ軍に制式採用されたベレッタM9なんて、構造的にはワルサーP38の丸写し(ごめんなさい)みたいな物です。
それ程ワルサーP38は先進的だったと言えます。
ところで、何故ルパン三世の愛銃はワルサーP38なのか?
原作では主人公達の愛銃はこれっ!ていう設定自体無かったらしいのですが、1971年にテレビアニメ化されるに当たり、細かく設定されたみたいです。
で、何故ワルサーP38なのか・・には、明確な答えは有りませんし諸説ありますが・・・・
ルパン三世はアルセーヌ・ルパンの孫なので、ヨーロッパのドイツ製で高機能なP38を使わせた。また個性的なフォルムなので、小さく描いても認識しやすい。
ルパン三世がアニメ化される前から、アメリカのスパイアクション・テレビドラマ「0011ナポレオン・ソロ」が日本でも放送され人気となっていましたが、劇中で主人公達がつかっていたのがカスタムされて万能銃と化した(劇中での話)ワルサーP38でしたので、影響されちゃったかな?
と、こんな所でしょうかな。

ブローバックガスガン
可変ホップアップシステム
全長 215mm
重量 720g
装弾数 12発
価格 19,580円 (税込)


マルゼン製ワルサーP38は、ドイツのワルサー社と正式契約し提供された実物図面を元に可能な限り正確に作り上げられています。
落ち着きの有るマットブラック塗装仕上げの質感も良く、個性的なスタイルの中に軍用銃らしい不愛想な趣が哀愁を誘い、なぜか愛でたくなる銃ですね。
同じマルゼン製ブローバックガスガンのワルサーPPK/sでは、フレーム表面にヒケが見られたのですが、ワルサーP38ではヒケも無く綺麗に仕上げられています。

フレームのパーティングライン(線状の成型痕)も綺麗に処理されています。
流石にトリガーガード内側にはパーティングラインは残っていますが、他は丁寧に処理されている様です。

刻印類にも、実銃を忠実に再現するための拘りを強く感じます。
スライド右側にある「鷲に359」の刻印は、バッフェンアムトと呼ばれるドイツ陸軍承認スタンプ(現代での検定印=プルーフマーク)です。
数字の359は、当時のワルサー社部品製造工場に与えられた番号で、軍のテストに合格した正規部品であることを証明しています。

スライド左側に刻印されていたワルサー社のロゴは、1940年から機密保持のため企業名をアルファベットの秘匿コードに置き換える事になり、ワルサー社を示すacと製造年の下二桁の数字の組み合わせが刻印されました。
ac41は1941年ワルサー社製となります。
「2807 K」はシリアルナンバーですが、この数字の決め方もマルゼンさんは拘りました。
ac41 つまり1941年にワルサー社で製造されたP38は112,795丁という記録から、実銃と被らない様に実銃最後の一丁の次、つまり112,796丁目のシリアルナンバーに決まりました。
シリアルナンバーの表記 | |
---|---|
生産数 | シリアルナンバー |
1丁目~9,999丁目 | 0001~9999 |
10,000丁目~19,998丁目 | 0001a~9999a |
19,999丁目~29,997丁目 | 0001b~9999b |
29,998丁目~39,996丁目 | 0001c~9999c |
39,997丁目~49,995丁目 | 0001d~9999d |
49,996丁目~59,994丁目 | 0001e~9999e |
59,995丁目~69,993丁目 | 0001f~9999f |
69,994丁目~79,992丁目 | 0001g~9999g |
79,993丁目~89,991丁目 | 0001h~9999h |
89,992丁目~99,990丁目 | 0001i~9999i |
99,991丁目~109,989丁目 | 0001j~9999j |
109,990丁目~112,796丁目 | 0001k~2807k |
シリアルナンバー「9999j」が109,989丁目なので、112,796丁目は112,796-109,989で2,807になるので「2807k」になります。

いかにも昔のミリタリー的な無骨で色気の無いフロントサイトとリアサイトは、金属製の別パーツで樹脂製のバレルやスライドに馴染んでます。
ワルサー社のオートマチック・ピストルではお馴染みのローディング・インジケーターは、ダミーですが再現されています。
実銃では、チャンバーに弾が装てんされていると、スライドからインジケーターがピョコッと飛び出して、チャンバーに弾が有る事を知らしてくれます。

スライドに装備されているセイフティはデコッキング機能付きで、ハンマーが起きている状態でセイフティにするとハンマーが安全に落ちて、トリガーを引いてもスカスカになり撃てません。
セイフティを解除すれば、そのままトリガーを引けばダブルアクションで撃てますし、ハンマーを起こせばシングルアクションで撃つ事が出来ます。
通常の状態でセイフティにすると、トリガーを引くとダブルアクションの動きをしますが途中でそれ以上引けなくなります。ハンマーを起こそうとしても同じ様に途中までしか引けません。

グリップは実銃のベークライト製(世界初の合成樹脂)の雰囲気がよく出てます。
軍に制式採用される前は、グリップの滑り止め模様はチェッカリングでしたが、清掃が手早く出来る様に横方向のスリットのみになりました。
マガジンを底部で引っ掛けて支えるマガジン・キャッチは、レトロ感がありますね。
また、軍用銃らしくランヤードリングも装備されています。

実銃がシングルカラム(単列弾倉)なのでしょうがないですが、エアガンの亜鉛ダイカスト製マガジンもシングルカラムで細く、装弾数は12発。実戦で使用するには少ないです。
ガスタンクの容量も少なくて、約5g程度。
ガス満タンで約30発位撃てるので、燃費は0.17g/1発位ですね。

通常分解は、まずマガジンを抜き前方からバレルをショートリコイルする位押し込みます。
次にバレルリテーナーラッチを時計回りに押し下げると、スライドとバレルがスルスルと前方に抜けます。
バレルはそのままスライドから外れます。

ホップアップの調節は、チャンバー上部のイモネジに付属の六角レンチを差し込んで行います。
時計回りに回せばホップが強くなります。
なんだか古臭い様な方式ですが、外観をなるべく崩さずに可変ホップを組み込むには、これが一番良い方法なのでしょうか?
ワルサーP38はシングルカラム・マガジンなのでグリップも細くて握り易いです。
実銃のプロップアップ式ショートリコイルを再現した、メカニカルな操作感は格別で、スムーズな操作性と作動性は、まさにBB弾を発射出来るモデルガンの様。
ブローバックの感触は、鋭さは無いものの重く撃ち応えがあるリコイルショックですが、続けざまに撃つと、みるみる弱弱しくなり初速も落ちていきます。
やはりガス容量の小さいマガジンだと冷えに弱い様ですね。
弾の飛びは、適正ホップに調整すると中々にフラットな飛びを見せてくれるので、色々使えそうな感じではありますが、距離10mの集弾性はやや散らばり気味で、精密な射撃には向いていないです。
マルゼン製ワルサーP38は、リアルな外観と構造でコレクション性の強い、レトロでモダンな軍用銃です。
現在では国内メーカーは、どこもスポット生産で欲しいモデルが何時でも買えるわけでは無いので、気になる方は買える内にどうぞ。

距離 10m 半径2cm刻みの円 0.20gBB弾 10発
マルゼンワルサーP38 | 28.7℃ 58% |
0.20gBB弾 平均初速 | 74.0m/s |
1発目 | 73.9m/s |
2発目 | 76.3m/s |
3発目 | 75.9m/s |
4発目 | 71.8m/s |
5発目 | 72.3m/s |

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