P320はシグ・ザウエル&ゾーン社のアメリカ現地法人SIG SAUERが2014年に開発したポリマーフレームオートで、SIG SAUERで初めてストライカー式を採用しました。
使用弾薬は9×19mmパラベラム弾の他.40S&W弾、.357SIG弾、.380ACP弾、.45ACP弾。
2017年には、アメリカ陸軍と空軍の制式拳銃「M9」の後継に選ばれ、「M17」となりました。
新しい制式拳銃「M17」は10年を目安に「M9」と入れ替わっていくそうです。
CO2ガス・ブローバックガスガン
可変ホップアップシステム
全長 210mm
重量 711g
装弾数 21発
価格 23,980円 (税込)
この銃の特徴 |
---|
〇実売メーカーSIG SAUERのエアガン販売部門SIG AIRがモデルアップ |
〇手を突き抜けてくる、芯のある鋭いリコイルショックは唯一無二。 |
〇使い勝手や拡張性も良い |
実銃M17の製造元であるSIG SAUERのエアガン販売部門SIG AIRがM17 CO2ブローバックガスガンをモデルアップしました。
「ProForce」と言うのは、上級モデルを意味するブランド名です。
製造自体は台湾のVFCさんが行っていて、国内でのライセンスはJASG(日本エアースポーツガン振興協同組合)に加盟しているLayLaxさんが持ち、国内販売の窓口になっています。
実銃メーカーの販売するブローバックガスガンで、しかも上級モデルと聞けば否が応でも期待せずにはいられません。
しかも、ちゃんと日本仕様に改修されているので安心できますね。
実銃の写真と見比べてみても、SIG AIR製M17の再現性はとても高いです。
まあ、細かく見ればエアガン仕様の部分もありますが、これは仕方ない所でしょう。
マガジンはロングタイプ・マガジンがモデルアップされています。
因みに、実銃でのノーマルタイプ・マガジンの装弾数は17発で、ロングタイプマガジンの装弾数は21発になります。
M17の色はコヨーテ・タン カラーで、スライドとフレームの色合いの違いも、実銃に良く似せてると思います。
スライド刻印は米軍向けM17を忠実に再現されています。
2018年に発売された民間向けP320-M17とは刻印や細部の仕様が異なるので、エアガンと見比べる時は注意が必要です。
フレーム内部にあるトリガーユニットのシリアルナンバーが、フレーム右側の小窓からみえる仕様は実銃通り。何故こうなってるかは、後ほど。
フロントサイトはホワイトドットの入った金属製で、裏側からプラスネジで固定されているのですが、そのネジを回すためにスライド底部に実銃には無い孔が開けられてるのは、如何なものか。
しかも、そんなに細長い精密ドライバーなんて持ってないし。
リアサイト周りの再現性も高いです。
スライドリリースレバーとサム(親指で操作する)セイフティは、どちらもアンビ(両側仕様)タイプです。
どちらも軍用銃らしく出っ張りの少ないデザインで、グリップしている親指で操作し易い様に後方よりに、仲良く並んでいます。
セイフティは通常時でもコッキングしていても、操作出来ます。
スライド後部にはドットサイトを搭載するスペースがあり、その黒いカバーの上にリアサイトが乗っかっています。
実銃M17はストライカー式なのでハンマーは無いのですが、見た目が「ハンマー無くしたのでフタ付けときました」みたいなデザインなのがどうも。
個人的にはグロックの様にハンマーが無いなら、それらしいデザインにしてほしかった。
まあ、今までのハンマー仕様と違和感が無い様にと言う事なのかも知れませんが。
今までのオートマチック・ピストルはハンマーがファイアリングピンを叩きそのファイアリングピンが弾薬を叩いて発火させていましたが最近ではファイアリングピン自体がダブルアクションで作動し、弾薬を叩くストライカー式が増えてきました。
ただ、ブローバックガスガンの場合はマガジンの放出バルブを叩かないといけないのでストライカー式の再現は難しく、実銃がストライカー式の銃をモデルアップしているブローバックガスガンは、内部にハンマーを装備したシングルアクション仕様になっています。
昔、ストライカー式を疑似的に再現したブローバックガスガンもあったのですが(ウエスタンアームズ製 S&Wシグマ40Fとか)再現されたストライカー式独特のトリガーフィーリングやトリガーストロークが
エアガン愛好家と相性が悪かったのか、はたまた実銃がマイナーだったからかあまり流行りませんでしたね。
スライドへの、ドットサイトの取付けは、まずリアサイトの裏側の3本のプラスネジを外し、リアサイトとカバーを外します(①②)。
次に純正オプションのマウントベースを取り付けて、外したプラスネジを付け直します。
その上にSIG AIR製ドットサイトを乗せて、六角ネジで固定すれば完了。
SIG AIR製ドットサイトはコンパクトでデザインも良く、ハンドガンとの相性もバッチリですな。
マウントベース後部は、色入れこそされていませんがリアサイトの形状に
なっているのでマウントベースからドットサイトを取り外しても、そのままで銃を撃つ事が出来ます。
マウントベースの付属品に六角ネジが何個も入ってるので、何かな?と説明文を見てみると、3種類の製品別用取り付けネジで、その中にマルイ製マイクロプロサイトの名前があったので、喜び勇んで早速取り付けてみました。
取り付けネジの位置が同じなんですねえ。
取り付けてみると、マルイ・マイクロプロサイトの方がSIG AIR製より実用性重視な感じで四角く、背が高くて覗きやすいです。
ただ、マルイ・マイクロプロサイトがCO2ブローバックのリコイルショックに耐え続けられるかが、心配なんですけど。
これは実銃には無いのですが、トリガーガード下部にはプリントで注意書きが書かれています。それとメイドイン台湾とあります。
ダストカバー部分には、20mmピカティニー規格のマウントレイルが装備されています。
M17はフルサイズのハンドガンなので、ウエポンライトもがっつりしたものが似合いますね。
ホップアップの調節は、スライドをホールドオープンさせてから付属の調節用ツールを使って、リコイルスプリングガイドを回してホップ調整します。
指で摘まんでも回せますが、微妙に動かしたい時はツールを使った方が良いですね。
通常分解は、マガジンを抜いてテイクダウン・レバーが回せる位置までスライドを引いてテイクダウン・レバーを90度回し下げると、スライドが前方にスルスルと抜けます。
後はリコイルスプリングガイド、アウターバレルの順に外します。
アウターバレルは金属製で、ズッシリとした重さがあります。
リコイルスプリングガイドのギアとチャンバー下部のギアが嚙み合ってホップ調整をする構造が良く分かります。(写真③)
スライド内側を見ると、かなりの部分を金属パーツで補強してあるのが分かります。
勿論スライドストップのノッチ部分も、両側補強されています。
さて、ここからがモジュラーガンシステムの真髄です。
テイクダウン・レバーを銃左側から抜き取ると、実銃と同様にトリガーユニットが丸ごとフレームから取り外す事が出来ます。
フレームは、ほぼ抜け殻になり、残っているのはマガジン・リリースボタンぐらい。
つまりM17の御神体はトリガーユニットだった訳で、それでトリガーユニットのシリアルナンバーがフレームの小窓から見える様にしてあったのです。
このトリガーユニットを基本に、必要に応じてパーツを組み替えて使用すると言うのがモジュラーガンシステムです。
最近の実銃ポリマーフレームオートでは、グリップのバックストラップを交換してグリップの太さを調整し、手にフィットさせるのがトレンドですが、M17の場合はフレーム丸ごと交換することになります。
まあ、需要によっては様々な形状のグリップを作り出せる発展性はありますが、気軽さは無いしコスト的にどうなの?と思っちゃうのですが、軍用だから良いのか?
エアガンで楽しむ側から言えば投資が増えるのもなんですし、そもそも今の所交換出来るパーツも無いですし。
最後に残ったマガジン・リリースボタンの左右組み換えですが、銃の左側からマガジン・リリースボタンを押すと、右側が浮き上がり側面に小さな穴が見えてきます。(写真①)
その穴に合うサイズのピン(私は細い六角レンチを使用)を差し込んで、グイッと押すとマガジン・リリースボタンを固定しているパーツのロックが外れて、少し浮き上がるので(写真②)、指で摘まんで取り外します。
後はバネの紛失に気をつけながら、左側からマガジン・リリースボタンを抜きます。
(抜ける角度があるので注意)
逆の手順で右側からマガジン・リリースボタンを組み込めば完了。
組み換えの仕組みさえ分かってしまえば、作業自体は簡単に出来るので優秀な仕組みです。
スライド・リリースレバーとサムセイフティはアンビタイプですし、直ぐに左利き用ハンドガンが出来上がります。
SIG AIR製M17に使用するCO2ガスは、当然LayLax製satellite ハイバレット CO2カートリッジが指定されていて、他社製CO2カートリッジを使用した場合は保証の対象外となります。
まあ、マルシン製カートリッジと比べてみても、サイズは変わらない様なので問題無いと思いますが、SIG AIR製ガスガンは初めてなので、用心してここはLayLax製で。
マガジンの背面にCO2カートリッジを装着して、マガジン底部から六角レンチを使って締め上げます。
特筆なのは、CO2カートリッジにマガジン側のノズル先端が刺さって貫通した時のガス漏れと漏れ音で、非常に少なく小さい音です。
他メーカーの貫通時の音が「プシュー!」だとすると「シュッ」位。
ガスの漏れる音が大きいと、焦ってカートリッジを締め上げ過ぎてパッキンを痛めてしまいがちですが、漏れが少ないと落ち着いて締める事が出来ます。
マガジンの装弾数は21発で、これは実銃ロングタイプの装弾数と同じです。
BB弾の装てんは、マルイ製の様にマガジン・フォロアースリットの広くなってる部分から流し込みますが、マガジン・フォロアーの指を引っ掛ける部分の出っ張りが低くて指を引っ掛け難く、度々指から外れてしまいます。
こちらはLayLax製CQCホルスターです。
パドルとホルスターをワンタッチで取り外し出来て、簡単に360度 24段階で角度調整が出来る優れものです。
今回は初めてのSIG AIR製ブローバックガスガンだったから、LayLax尽くしになりました。
グリップ背面下部に「M」と入っているので、これはミディアムサイズのグリップと思われますが、丸みのあるデザインでグリップ付け根両側が大きく窪んでいて親指と人差し指がフィットするので、握り易いですし、グリップ全面にあるシボ加工も感触が良いです。
サムセイフティは、新品のせいか、操作が固いですね。
スライドの引き心地はスプリングが強いせいか、やや重い。しかもスライド後部のセレイション(滑り止めのスリット)の範囲が狭く、少し掴みにくい。
スライドを引いて戻った時の閉鎖音は「シャチーン!」と心地良い金属音が鳴ります。
射撃時も金属音が混ざった作動音なので、撃っていて気持ちいいですね。
トリガープルは、日頃フェザータッチ的なブローバックガスガンばかり撃っているとやや重く感じますが、軍用だから重い方がリアルと勝手に解釈しています。
CO2ガスによるブローバックは強烈で、スピードも速いです。
バトン製BM-45と撃ち比べてみましたが、こちらは銃が跳ね上がる様なリコイルショックですが、M17は重くて強烈なリコイルショックが真後ろに突き抜けてくる感じ。
ブローバックのテイストが違い過ぎて、優劣も付けがたいのですがM17のブローバックが最高に気持ちいいフィーリングなのは間違いないです。
ただ今回、もう1本マガジンを購入したのですが、2本のマガジンの初速やリコイルショックの強さに、個体差がやや大きめにあったのが気になりました。
燃費はカートリッジ1本で100発弱撃てましたので、Carbon8製ストライカーナインやバトン製BH-USPと同程度ですね。
弾の飛びは素直に飛んでいきますが、ホップ調整は少し気難しいかもしれません。
集弾性もマルイ製に比べると、やや安定感がないかな。
でもこの初体験的ブローバックの楽しさは、絶品です。実銃メーカーからの贈り物を是非味わってみて下さい。
SIG AIR M17 | 22.3℃ 52% |
0.20gBB弾 平均初速 | 75.0m/s |
1発目 | 75.0m/s |
2発目 | 75.4m/s |
3発目 | 74.7m/s |
4発目 | 75.0m/s |
5発目 | 75.1m/s |
距離 10m 半径2cm刻みの円 0.20gBB弾10発