1896年にドイツ帝国のモーゼル社が開発した7.63×25mm自動拳銃がモーゼルC96です。
この時代のボルトアクションライフルに見られた、弾が連なったクリップをエジェクションポートに差し込み、弾だけを上から指で押し込んでマガジン部分に装てんする方法が使われました。
C96は1937年まで製造され、100万丁以上生産されました。
1931年にはモーゼル・ライエンフォイヤー(M713)と呼ばれるフルオート・モデルが開発され、フルオートでの迅速な弾の装てんのため、マガジンが脱着式になりました。
翌年にはライエンフォイヤーの欠陥部分に改良を加えたモーゼル・シュネルフォイヤー(M712←何故か数字が減ってる)が作られました。
サブマシンガンよりコンパクトで携帯性が良く、拳銃より強力な火力なため、ドイツ空軍の空挺部隊等がサブマシンガン代わりに使用していました。
また当時としては高性能な自動拳銃だったので、ドイツ国内は元より世界各国で大量にライセンス生産され、ブルームハンドルの愛称で呼ばれた独特のグリップは、アジア系の小柄な手でも握り易く日本や中国でも人気がありました。
セミ・フル ブローバックガスガン
可変ホップアップシステム
全長 685mm(本体300mm)
重量 1,240g(本体 840g)
装弾数 26発
価格 25,300円 (税込)
AW(アーマーワークス)モーゼルM712は、元々台湾のWE-Tech社メタル製ブローバックガスガンだったM712のレシーバーを、樹脂製の日本仕様にしてAWブランドで発売した物です。
そのレシーバーの質感はツルツルからのテカテカした光沢で、これでもか!って位のプラスチック感を醸し出してますし、よく見れば僅かなヒケも所々に有ります。
ただ、アウターバレルやボルト等の金属パーツとの違和感は無くて統一感が有るのは良いですね。
社名等の刻印も無く、さっぱりしている外観ですがまあ、この銃の名前は大人の事情で「MC0100-JP」となってますからね。
「MADE IN TAIWAN」の文字もシールで貼り付けてあるだけなんですがこれってOKなんですかね?(直ぐ剥がしちゃったけど)
ロア・レシーバーのパーティングライン(線状の成型痕)は未処理です。
特にマガジンハウジング前面のパーティングラインは目立ちます。
ロア・レシーバー中央の、実銃での軽量化肉抜き加工の切削痕が再現されてますね(グリグリとした多数の円)、細かい部分ですが。
セミ・フルオート切り替えのセレクターはボタン式のロック付きでボタンを押しながらセレクターをスライドさせて、N(セミオート)とR(フルオート)を切り替えます。
実銃M712の1つ前のモデルで、フルオート時の振動でセレクターが勝手に動いてセミオートになってしまうと言う不都合が多発したためM712で、ボタン付きに改良されました。
セイフティはハンマーが起きていても、落ちていても掛けられます。
ハンマー左横のレバーを上にスライドすればセイフティ、下げれば解除になります。
ハンマーが落ちてる状態の時にセイフティにすると、ハンマーがハーフコックの様に少し起きるのは、安心感がありますね。
リアサイトはタンジェントサイトで、右横のリリースボタンを押しながらスライドバーを前後に移動させて、リアサイトの上下を調節します。
実銃通りに50m~1000mの目盛りが刻まれていますがまあ、エアガンだとあまり関係ないですね・・・これは。
フロント・リアサイトは昔の軍用銃っぽく、ホワイトの色入れ等は無く殺風景で、リアサイトの切り込みも小さく・・・雰囲気で言えば、らしくて良いです。
アウターバレルのレシーバーへの取付部分の段差は大きくて不格好に見えます。
マズル部分にはライフリングが再現されていますが口径が実銃の7.63mmより大きめみたいです。
ボルトを引くとチャンバーの少し上辺りに、ホップアップ調節用のマイナス・ネジが見えます。
ホップアップ調整する時は、ボルトをホールドオープンさせてから精密ドライバーでネジを回して行います。
このネジが小さくて、回す量も分からず最初は手間取ります。
マガジンは実銃での20発弾倉タイプで、装弾数は26発。
BB弾の装てんはマルイ製によくあるタイプで、マガジン・フォロアーを下までさげて、スリットの広くなってる部分からBB弾を流し込みます。
マガジン内のガスタンク容量も大きく、ガスは40gも入ります。お陰でセミオート射撃なら、ガスフルチャージで170発程度撃てます。
ただし燃費は少し悪く、手持ちのマルイ製ハイキャパD.O.Rの0.16g/1発に対し0.24g/1発でした。
ブローバックはショートリコイル機能が除かれているのでアッパーレシーバーは動きません。
全弾撃ち尽くすと、写真の様にボルトが後退したままホールドオープンで停止します。
マガジンを抜くか弾の装てんされたマガジンを装着して、ボルトを少し引いて離すと、ボルトは前進します。
ホールドオープン機能が装備されているのは嬉しいですね。
モーゼルの醍醐味と言えば、ホルスターストックの装着でしょう。
このM712に付属するホルスターストックは、樹脂製ながらフェイクウッドと言われるだけあって、外観が木製っぽく仕上げられています。
しかもストック本体とフタがとんでもなく色違いな所も、天然木な雰囲気があって良いですね~。
グリップへのストック装着はスムーズですが、グリップ部分は樹脂製なのでストックを装着した状態での取り扱いは、注意です。
ストックへのM712の収納はマガジンを外さないと出来ません。
フタの裏側に、銃を押さえ付けるためのバネが装着してあるので収納時にガタつく事はありません。
通常分解はまず、マガジンを外してハンマーを起こします。
次にボルト後部のファイアリングピンをマイナスドライバーで90度回すとロックが外れるので引き抜きます。
アッパーレシーバー後部右側面のパーツも90度回転させて引き抜くと、ボルトが後方に外れます。
ロアレシーバー後部のロックレバーを上方にスライドするとロックが解除されて、アッパーレシーバーと機関部が後方にスライドして外れます。
ロアレシーバーのロックレバーは、外す時も嵌める時もメチャクチャ固いです。鬼の様に固いので注意が必要です。
海外製ガスガンで地味に困るのがガス注入バルブでこれが海外用高圧仕様のままだと、HFC134aガス注入時はガスは一応注入されてますが、無音なんです。
国内メーカーのガスガンなら、HFC134aガスを注入する時はシューっと音がして、ガスタンク一杯になるとブチュブチュと音が変わり満タンになった事がわかるのですが、海外仕様だと全くの無音なので注入の止め時が分かりません。
このAW M712は幸いな事に日本国仕様な様で、やや音は小さめながら、注入の音が聞こえます。
ブローバックもボルト作動なので期待していませんでしたがレシーバーが樹脂製で軽いせいか、リコイルショックはガツンと重く撃ち応えがあります。
特にフルオートは心地良いですね。
一番期待して無かったのが実射性能ですが、これも見事に裏切られました。
ホップ調整方法からして精密ではなさそうですが、確かに適正に合わせるのに少々手こずるものの、飛び自体は素直なので若干弱めのホップで撃てば安定感のある飛びをしてくれますし集弾性も優秀です。
更にストックホルスターを装着すれば、構えた時の安定感が抜群に良くなり、カービン銃の様に使えます。(耐久性は抜きにして)
と良いこと尽くめですが、短所を言えばマガジンに満タンにガスを入れて直ぐに撃ち始めると、セミオートでも次第に2発バーストになり、それでも撃ち続けると勝手にフルオートになり最後は、ガスを吹いて終了になる事が多発しました。
ガス注入後は連続して撃たない様にするとか、注入後は少し置いておいてから撃つとかにすると、症状は出難い様な気が。
2マガジンめからは嘘のように絶好調になるので、ガスは満充填しない方が良いのかもしれません。
ガス満タンだと気化スペースが無くて、生ガス吹いて破綻し易いのかも。
で、フルオート時の初速の落ち加減をKSC製M93R2と比べてみました。
フルオートの回転スピードがM712の秒間14~15発に対してM93Rはヘビーウエイト・スライドで秒間12~13発と、やや遅くて違いがあるのですが、M712の方が初速の落ち込みは激しい様です。
ただ撃ち尽くすまでのブローバックの作動性は、そんなに悪くは無くフルオートの回転スピードも、あまり落とさず撃ち尽くせました。
こんなに「使える」モーゼルがあったなんて。
ただこの製品にマニュアルは付属なしで、元箱に印刷してあるQRコードからアクセスしても、AWのウエッブサイトに繋がるだけで日本語も無く、とても不親切です。
日本バージョンのエアガンは作ったけど、こんな対応程度のマーケットっていう事ですか?日本て。・・・シクシク・・・
AW M712 | 25.9℃ 45% |
0.20gBB弾 平均初速 | 76.1m/s |
1発目 | 76.4m/s |
2発目 | 75.8m/s |
3発目 | 76.2m/s |
4発目 | 75.7m/s |
5発目 | 76.4m/s |
距離 10m 半径2cm刻みの円 0.20gBB弾
セミオート10発
楽天市場でAW M712をみてみる Yahoo!ショッピングでAW M712をみてみる